だいたい47度

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2歳児が正解して5歳児が間違える問題

ピアジェは、数の感覚も幼い頃にはなく、四、五歳頃になって初めて獲得されると考えていた。ピアジェの実験の一つに、さまざまな研究グループによってくり返し実施されているものがある。この実験では、コップと瓶をそれぞれ六個ずつ等間隔に一列に並べたものを四歳児に見せ、コップと瓶のどちらかが多いかとたずねた。子どもは同じ数だけあると答えた。子どもは一対一の対応を認識できるようだった。次にコップの間隔を広げて列を伸ばし、コップと瓶はどちらが多いかたずねると、子どもはコップのほうが多いと答えた。どうやら列の長さにまどわされてしまうらしかった。ピアジェは「これはあきらかに、数の感覚がまだ適切に発達していないことを示している」という結論を出した。(数学する遺伝子 p.47)

この実験、何もおかしなところがないように思います。
しかし、実は更なる調査でちょっと不思議なことがわかります。

メレールとビーヴァーが、ピアジェが四歳児と五歳児を対象に実施した、数の保存をテストする実験を、二歳児と三歳児を対象にして実験したところ、子どもたちは完璧に正しく答えた。したがって、子どもたちは四歳から六歳まで、一時的に数の保存の感覚を失うと考えないかぎり、ピアジェの実験結果に別の説明が必要になるのはあきらかである。(同 p.48)

もちろん「数の保存の感覚を失う」わけがありません。
ではどうして、二歳児が正解する問題に五歳児が間違えてしまうのでしょう?

四、五歳児の子どもは、おとなは有能で知識も豊富だということを知っている。それにおそらく、研究室に着いたとき、自分の親が実験者に敬意を表しているのを見ていただろう。その実験者が、二つの列のうちの一つをならべかえて、少し前とまったく同じ質問をくり返し、「ものが多いのはどちらの列か」とたずねたら、子どもはどんなふうに反応する見込みが高いだろうか?子どもは、たぶんこんなふうに推論したのだろう。「うーん、さっきと同じ質問だけど、おとなはばかじゃないし、この人はいろんなことをたくさん知っている特別な人だ。ものの数が変わっていないのは、私にもこの人にもわかっている。だから私は質問を聞き間違えたにちがいない。列にあるものの数のことを聞かれたと思ったけれど、この人は、本当は長さのことを聞いたにちがいない。だって、長さを変えたんだから」(同 p.49)

なんという想定外。
でも、とてもすてきな解釈。

この解釈の妥当性については、他の実験で確かめられています。たとえば、実験者がよそ見している間に列の長さを変え、「あれ、どっちが多いんだっけ?」と聞くときちんと正答が返ってくるそうです。


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上記のお話は、「数学する遺伝子」という本で知りました。この本は、「人にはどうして数の感覚があるのか」が主題の本です。上述のような認知系の話がたくさん載っていてなかなか楽しめます。

筆者は、数学的な思考とは高度な抽象的思考であると考え、しかもヒトは誰でもその能力を持っているという論旨を展開します。抽象的思考を以下の4段階にわけて示すところなども僕にとっては新鮮で面白かったです。
・レベル1:思考の対象が、目下の環境にある実在物のみ
・レベル2:思考の対象が、既知だが目下にはない実在物を含む
・レベル3:思考の対象が、見たことのない想像物を含む
・レベル4:思考の対象が、実在物から切り離された完全な抽象世界

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