だいたい47度

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

PageTop

「君たちはどう生きるか」の構成

「君たちはどう生きるか」を読んだ。少年少女向けに書かれた倫理の本なので非常に平易な文で書いてあるにも関わらず、どう生きるかという重めのテーマをしっかりと捉えていて、さすが名著だと感心した。

特に構成が面白い。主人公である中学2年生の平凡な学生生活が記された後、それを聞いた叔父さんからの主人公に宛てた言葉が記されるという2段構成が何度か続く形となっている。一般的に倫理の本といえば、叔父さんからの言葉にあたる「どうあるべきか」といったことが主体に展開されるが、それを実生活に落としこむことは難しい。しかしその前に平凡な一般生活が語られることで、実生活から倫理へのつながりが見えやすくなっている。

主人公に倫理を示すのが「自省」や「お父さん」ではなく「叔父さん」であるところも、倫理を伝えやすくする構成の妙だ。人間が一番倫理的になるのはいつかというと、子どもに何かを伝えるときのように思う。自分で何かを考えるときは倫理よりも論理に偏った考えになりがちだが、子どもと話すときは倫理的にどうあるべきかを主体において話すことが多い。たとえ自分で実践できていないことでも、「こうあるべきだ」と子どもに示すことすらあるだろう。自分自身が行う反省よりも、子どもを見る大人の視点の方が倫理的でありうるのだ。また、日常生活を共にする「お父さん」よりも、少しだけ社会に近い「叔父さん」という立場の方がより理想的な倫理モデルにふさわしいだろう(父親としてずっと倫理的にいることは難しく思う)。

ここのところ精神的にきつい状況が続いているのだが、規律正しい文というのは読んでいて心が洗われるものだ。全文ですます調で通す本書は、清廉潔白な感じを受けるにもかかわらず、けっして嫌味ではなく、小学校の国語の教科書を読んだときのような穏やかな気持ちにさせてくれる。倫理とは「何をするか」ではなく「どうあるか」だということを本自体の姿勢として表している本だった。

君たちはどう生きるか (岩波文庫)君たちはどう生きるか (岩波文庫)
(1982/11/16)
吉野 源三郎

商品詳細を見る
関連記事
スポンサーサイト

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。