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「宇宙創成(上)」と新しい理論に必要なこと

サイモン・シンの「宇宙創成(上)」を読んだ。「宇宙創成」は亀や象の上に地面が乗っている時代から、ビッグバンモデルが主流になる時代までの流れを書いた科学ノンフィクションである。上下巻なので両方読んでから感想を書くべきかもしれないが、上巻だけでも考えさせられることがたくさんあったので、いったんここで立ち止まってみる。

上巻の三つの章では、ビッグバンモデルが現れるまでの科学的な歴史を概観している。すなわちビッグバンモデルを理解するための基礎作りがされていくのだが、その地固めでさえも興味深い内容に溢れている。第一章では天動説から地動説へのパラダイムシフト、第二章では古典力学から相対性理論へのパラダイムシフトが描かれ、第三章では天文学の進化により人々の宇宙観がどう変わっていったかが描かれている。

第一章・第二章では、今まで主流だった理論を覆すドラマが展開される。文中で何度も強調されるように、科学者といえども常識や主流の理論を覆すことには強い忌避感を持つ。今では一笑に付されるだろう天動説も、その当時の常識から考えるともっともらしいものだ(彼らは万有引力の法則を知らなかったので、あらゆるものが地上に落ちるのは宇宙の中心たる地球の中心にモノが吸い寄せられるからだと思っていた)。更にその理論の上に人生を掛けて研究をやっているのだから、確かに新しい理論に対しては狭量な態度にもなるだろう。

では新しい理論を世間に認めてもらうためにはどうすればよいのだろうか。もちろん今までの理論を内包する形でなくてはならないが、それ以外にもう一つ満たさなくてはならない要件があると筆者はいう。

新しい理論をまじめに受け止めてもらうためには、その理論は二つの重要なテストに合格しなければならない。一つは、すでに行われている観測のすべてと合う理論的結果を出すことだ。(中略)第二のテストはいっそう厳しく、まだ行われていない観測の結果を予測しなければならない。(p.197-198)


この第二のテストについてはあまり考えたことがなかった。確かに予知ほど人を信頼させるものはないだろう。実際、コペルニクスの地動説は金星の満ち欠けを予測して実証することで天動説を覆し、アインシュタインの相対性理論は光が太陽によって大きく曲がることを予測して実証することでニュートンの物理学を超えた(特にアインシュタインのテストは日蝕の時しかできず、結果的に宇宙規模のショーの中でアインシュタインがニュートンを超えることとなり、その様子の描写は読んでいて背筋がゾクゾクした)。

第三章では、銀河はただ一つしかないのかという大論争を中心に据えて、天文学の進歩が描かれている。第三章では、決して触れることができない距離にある天体を調べる道具が徐々にそろっていくことで人々の宇宙観がどんどん変わっていく様子が描かれているが、第一章・第二章のドンデン返しというよりも漸次的な進化という印象を受け、また違った面白さがある。

ようやくビッグバンの可能性が見えてきたところで上巻は終わる。下巻は「宇宙は永遠に続いてきたものなのか」という論争が中心となるだろう。アインシュタインでさえ固執した常識「宇宙は静的なものである」をどう崩しビッグバンモデルが完成するのか、いまから楽しみだ。

宇宙創成〈上〉 (新潮文庫)宇宙創成〈上〉 (新潮文庫)
(2009/01/28)
サイモン シン

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