だいたい47度

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顔のない裸体たち

平野啓一郎の「顔のない裸体たち」を読んだ。出会い系サイトで知りあった男女が、匿名性の仮面を手に少々歪んだ性行為をエスカレートさせていく様子をドキュメンタリー調に描いた短編小説である。

集団に受けいられない性状ながら非常にプライドが高く、そのギャップから生じる劣等感を性的に女性を征服することで埋めようとする男。劣った容貌から性をタブー視しつつも、一般よりも女性ホルモンが多いことから生じる現象にどこか優越感を覚える女。ふたりは仮面の世界で出会い、それぞれに独善的に動き、それが偶々噛み合うことで嘘の生活はエスカレートしていく。

倦んだ生活を送る主人公男女のひどく赤裸々で低俗な会話が飛び交う一方、地の文は硬派で知的さを感じさせるというギャップは面白い。

読後感として「切なさ」が残ったのが意外だった。物語の出だしから隠そうともしていないように、最終的にはある事件が起こり二人の関係は破綻することになる。その破綻は主人公男が嘘の生活からの逃避を望んだことに端を発している。現在を変えたいと願い、しかし変え方がわからないため闇雲に動く結果、現在をも失う破綻へと突き進んでしまう男。その最後の展開においては、全く共感できないと思っていた男に対してどこか切なさを覚えてしまうのだ。

同著者の短編「一月物語」は、破綻がわかっていながらもむしろその破綻を望んで突き進む男を描いているが、こちらはこちらで何とも言えない読後感があり、たまに読み返したくなる。


顔のない裸体たち (新潮文庫)顔のない裸体たち (新潮文庫)
(2008/07)
平野 啓一郎

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